人生百年とも言われるようになってきた昨今、将来を見据えた資産運用方法について考えることが重要となってきています。2024年にスタートした『新NISA』などをきっかけに、投資に興味を持ちはじめた方も多いのではないでしょうか。最近では、高校などでも金融教育の一環として、資産形成や投資に関する授業がはじまっています。
株式や信託、FXなど、投資の種類やスタイルはさまざまありますが、なかでも近年注目されているのがゴールド 取引です。
ここでは、ゴールド取引のメリット・デメリットについて見ていきたいと思います。
有事の金
昔から世界中で貴重な貴金属として価値が認められてきたゴールドは、金融の世界においても、通貨価値の低下や株価の変動に影響されにくいとされており、投資の対象として根強い人気があります。政治的・経済的混乱期や災害時、インフレ時に値上がりする傾向にあるため、『有事の金』と言われるなど、これまでリスクヘッジとしても買われてきました。
金投資、ゴールド取引と言われる投資としては、ゴールドと聞いてすぐにイメージされる金塊などを現物購入するものから、ゴールドの価値自体に投資するものまでさまざまな種類があります。
ゴールドへの投資方法の種類を説明しながら、それぞれのメリット・デメリットについて把握していきましょう。
現物購入
先述したように、金塊や金の延べ棒などの金地金はじめ、金貨といった、ゴールドそのものの現物を購入する方法です。一般的に購入できるものとしてはイカのものが挙げられます。
金貨
宝飾店や貴金属店で購入することができ、発行元、国、年によってデザインが異なるため、後で紹介する金地金の小売価格よりも割高となっています。有名なものでは、カナダ王室造幣局によって発行された「メイプルリーフ金貨」などがあります。
金地金
ゴールドと聞いて連想される金塊や金の延べ棒、インゴッドなどが金地金にあたります。貴金属メーカーや地金商、商社などで購入でき、基本的に平らな板状の形をしており、購入サイズは販売業者によって異なるもの、取引は1,000グラム(7,000円/グラム前後で推移)からが一般的となっています。そのため、500グラム未満のものを売買する際は「バーチャージ」という手数料がかかりますが、この手数料も業者によって異なるため、確認が必要です。
こうした現物購入による投資方法は、現物を保管でき、また、世界的に共通して価値が認められているため、有事の際にもすぐ換金可能なのがメリットとなっています。その一方で、紛失・盗難のリスクがあるので、銀行などの貸金庫などに預ける必要があり、手数料がかかるというデメリットもあります。
投資信託
投資信託(ファンド)は、投資のプロであるファンドマネージャーに運用を任せて、複数の資産に分散投資ができる金融商品のことです。一般的に、投資信託と言えば株式や債券など複数の銘柄に投資することが多いですが、ゴールドに投資する投資信託もあります。
ファンドマネージャーは投資家から資金を集め、投資信託ごとの運用方針に基づいて投資する銘柄を選んで運用してくれます。つまり、投資家はゴールドなど、自分の好みの投資信託を選んで投資するだけで、あとはファンドマネージャーに任せるのみ。
こうした投資信託を選ぶ一番のメリットは、少額から投資が可能な点です。例えば、使い慣れたクレジットカードを利用して自動的に積み立てることができる「クレジットカード投資」などであれば、より手軽に、そしてポイントを貯めながら投資ができます。ゴールドの現物を所持する必要もないので盗難の心配がなく、万が一口座を開設した銀行や証券会社が破綻しても保有資産は守られます。
そうしたメリットがある一方で、投資信託は運用をすべてファンドに任せているため、購入時だけでなく保有中にも手数料がかかってきます。この手数料はファンドによって異なるものの、ランニングコストがかかるという意味ではデメリットと言えるでしょう。
先物取引・CFD取引
先物取引は、商品を将来の決められた日(期日)に、決められた価格で売買することを約束する取引を指しています。証券会社や商品先物業者が取り扱っており、取引の対象となる商品はゴールドや原油のような資源をはじめ、大豆やトウモロコシといった農作物など多岐にわたります。
また、そうした商品は、どれも常に市場価格が変動しており、例えば、ゴールドの先物の買いをした場合、最初に約束していたゴールド価格が、期日時点の価格よりも低かった場合、安い価格でゴールドを購入することができ、これを高い価格となっている時価で売却することで、その差額が利益となります。
このように、差額で利益を得る取引を『差金決済取引』と呼びますが、先に挙げた例と反対の状況が起きた場合、損失が出る可能性もあります。
また、先物取引と同じく、差金決済取引のひとつとして『CFD取引』というものもあります。内容としては先物取引とほぼ変わらないのですが、あらかじめ期日を決めて取引を行う先物取引に対し、CFD取引では期限が設けられていません。投資家自身が取引タイミングを決められるので、比較的自由度の高い取引ができるのがメリットと言えるでしょう。
また、先物取引とCFD取引の最も大きな特徴が、『レバレッジ』という仕組みの存在です。
レバレッジは、日本語で「てこの原理」を意味しており、口座に保証金を預け、それを担保に大きな金額で取引が可能になる、という制度になっています。このレバレッジを利用することで、ゴールドの現物購入などに比べると、少ない資金でも大きな取引ができるため、短期間でより多くの利益を得るチャンスがあるのがメリットとなっています。
その反面、大きな損失を被る可能性もあるため、ハイリスクハイリターンな投資法とも言われています。